メラビアンの法則
話し方や伝え方を学んでいると❝メラビアンの法則❞をたびたび見聞きします。
これは、人と人がコミュニケーションを図る際に、実は言葉などの「言語情報」7%、声のトーンなど「聴覚情報」38%、身振りや表情などの「視覚情報」55%という割合で、影響を与えているということを示した心理学上の法則です。
この法則から、人間同士がコミュニケーションをとる際に、言語情報(バーバルコミュニケーション)よりも非言語の情報(ノンバーバルコミュニケーション)の方がいかに重要かということがわかりますよね。
では犬の世界においては、メラビアンの法則は当てはまるのでしょうか?
メラビアンの法則 犬バージョン
犬の世界でも、非言語であるノンバーバルコミュニケーションが大切なのですが、
そのコミュニケーションの特徴から視覚情報が圧倒的に優位になります。
あくまでも私の感覚ですが、
言語情報2%、聴覚情報20%、視覚情報と嗅覚情報78%くらいになるでしょう。
犬のコミュニケーション方法
<言語情報2%>
犬の言語は❝吠え❞と❝鳴き❞と❝遠吠え❞と❝うなり❞の4つで、様々な場面でこれらを組み合わせて発声し、相手に意思を伝えています。
しかし、人間のように語彙の多さや象徴性・抽象性を示す言語を持つわけではなく、言語情報によって相手と意思疎通出来る範囲は限定的です。
「うちの子は私の言葉がよくわかっていて、今日の出来事とかを話すとよく聞いてくれるの!」とおっしゃる方がいましたが、これは犬が言葉を理解しているわけではありません。
<聴覚情報20%>
声のトーンや音程などに含まれる聴覚情報は言語情報よりも影響が大きくなります。
特に、音の高低やテンポの速さは、聴覚情報として意思疎通する上で重要です。
例えば、体を大きく見せたいときや攻撃的なシグナルを含ませるときには低音で太い声を出し、高くテンポの速い声は、体の小さや興奮性を示すこととなります。
<視覚情報+嗅覚情報 78%>
犬のコミュニケーションにおいて特筆すべきはボディーランゲージの多さです。
顔(目、耳、口、舌)、身体の動き(直立、身を低くする、毛を立てる、前脚を上げる、弧を描くなどなど)、尾(位置、ふり幅、振る強さ)の動きを様々に組み合わせて信号を送り、お互いに会話しています。
犬同士で遊んでいるシーンでは、1秒間の中で様々なボディーランゲージを示しており、人の目ではすべてをキャッチすることは難しいでしょう。
散歩中に出会う犬によって遊び方が変わったり、犬好きな人かどうかを見分けて態度を変えることを不思議に感じるかもしれませんが、相手のボディーランゲージを察知して対応を変えているのでしょう。
人と犬のコミュニケーション
人が犬とコミュニケーションをとる際も、『犬のコミュニケーション方法』に合わせていく必要があります。
ついつい、人間同士のように犬ともコミュニケーションを取ろうとしてしまうのですが、全く通じていないということもあるでしょう。
犬に伝える上で大切なことは、「何を言ったか(What)」ではなく、『どう言ったか(How)』
犬の言語情報は吠え声という短い発声です。つい、文章でだらだらと指示していませんか?
犬に対して、常に高い声で落ち着きなく話しかけていると、その影響で犬も常に興奮が高く、落ち着きが欠ける暮らしとなり、最終的にせわしない動きになっていく可能性がありますので、犬にかける声のトーンも意識したいところです。
そして伝えているときの『表情』、『目線』、『体の向き』、『頭の高さ』など、ボディーランゲージは伝えたい内容とマッチしているでしょうか?
これらを意識すると、犬への伝わり方がぐんと増していくでしょう。
まとめ
ここまで、人以上に犬はノンバーバルを意識したコミュニケーションが大切ということを述べてきましたが、言語情報が必要ないということを言いたいのではありません。
これまで数多くの犬育てをサポートしてきた中で、「犬の育て方がうまいなぁ」と感じる人は、たいてい指示語や単語をきちんと教えています。
例えば、排泄を促す指示語として『ワンツー』という言葉を使っていきますが、
『ワンツー=排泄をする』と理解している犬は、環境や条件、時間帯が変わっても『ワンツー』という指示を出すと指示に従って排泄をしようとする意識がみられるようになります。
つまり、言葉を理解することで、応用が高くなっていくんですね!
❝ものを持ってきて❞の遊びでも、種類の違う中で指示されたものを識別して持ってくるように練習していくのもいいでしょう!
言葉を理解させることは、犬のIQを高めることになります。
ぜひチャレンジしてみてください!
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