『狭いところが好き!』は習性
パピーを飼育している皆さんの多くが共感する犬の行動の一つが、
『狭いところが好き』ではないでしょうか。
子犬はわざわざ狭いソファーの下にもぐっていって出てこられなくなったり、
リビングのテーブルの下や押入れの中が定位置になっていたり…
どうしてわざわざ狭いところに行くのでしょうか?
ネットをみると「怖いから」などと書かれていること多くあります。
でも、400頭近くの子犬を見てきて、この行動はほとんどの犬に確認されるので、
性格というよりは習性が起因していると考えた方が良さそうです。
犬の習性
犬の先祖は、巣穴で暮らす習性があります。
その名残として、犬は狭くて暗い場所が落ち着くのでしょう。
また、子犬のころは何かに触れていることで安心する習性もあります。
犬は平均で5~6頭ほど出産しますので、母親や兄弟間でくっついて寝ることが多く、
この経験から何かに触れていることで安心するのでしょう。
習性をしつけに利用していく①
①抱っこでホールドする(軽く締め付ける)
抱っこをしているときに子犬が動き回って安定して抱っこできないときには、
抱っこの腕を緩めて子犬を放してしまうのではなく、
逆に抱きしめる腕を少しきつくして、軽く締め付けてあげます。
そして、子犬が力を抜いたら、ホールドしている腕の力を抜いて(締りを緩めて)、
また動くようならホールドする(軽く締め付ける)を繰り返してみてください。
軽く締め付けられた方が、体が安定して安心する効果があります。
これは犬だけではなく、人の乳幼児でも同じこと。
母親の狭い胎内の中で育ってきた赤ちゃんは少し締め付けられていたり、
何かに身体が触れていたりする方が落ち着きますよね。
実際に、乳幼児はおくるみで手足もすっぽりと包むことで、
胎内にいる時の安心感を得られて、寝かしつけにも効果的と言われています。
②ケージの中を狭くしてあげる
寝る時にはサークルやケージの中で寝るようにしつける場合。
あえてケージ内を狭くしてあげることで落ち着くという効果につながります。
広い方がのびのびとできていいのではと考えるのは逆効果。
むしろ、大きなぬいぐるみなどを入れて窮屈にしてあげた方が、
安心して眠るようになったという場合が多くあります。
習性をしつけに利用していく②(応用編)
犬が社会化期(3週齢~3ヶ月齢位まで)の時には、
特に何かに触れていたい、寄り添っていたいという気持ちが強いようです。
これは人間の子供も同じこと。
小学校に入るくらいまでは、親の抱っこをねだったりしますが、
自立していくとともに、身体的な接触を求める行動も減っていきますよね(さびしい…)。
ということで、人のそばにいたいという今のうちにやっていくといいしつけをご紹介します。
③ごはんの時にそばにいる(体に触れる)
犬と暮らすうえで、咬んで怒る(アグレッション)ようになると、
一緒に暮らすことが大変になります。
そのアグレッションが一番出やすいのが、ご飯を食べているとき。
犬がご飯を食べている最中に近づくと、ご飯を奪われたくないという気持ちから、
怒って近寄らせないという行動をとるようになります。
このアグレッションが出ないように、人のそばにいたいという気持ちが強いうちに、
犬がご飯を食べているときにはすぐ近くにいたり、食器を手で押さえていたり、
食べている最中に優しく子犬の体に触れるという習慣をつけていくといいでしょう。
④❝呼び戻し❞を教える
子犬のうちは、人の後を追いかけてくるという行動が多く見られます。
その習性を利用して、呼んだら来るという呼び戻しを教えていくといいでしょう!
呼び戻しは、犬と生活していく上で必須のしつけの一つ。
ならば今のうちに実施していくと成功しやすいですよ!
そのうち、呼んでも来なくなりますから…。
まとめ
今回は、子犬の時に示す『狭いところが好き!』という習性と、
それを利用したしつけについてご紹介しました。
もちろんこの習性は成犬になってからも利用していけます。
落ち着けない犬に、あえてフィット感の強い服を着せることで、
気持ちが落ち着くようになるという効果もあります。
老犬達を見ても、やっぱりテーブルの下が好きな犬が多いようです。
❝性格❞とは違って、❝犬の習性❞はどの犬にも出やすいもの。
犬とのより良い暮らしを作るためにも、習性を理解して、
利用していくと良いでしょう!
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