あなたの良心が裏目に!犬の「社会化」で絶対にやってはいけないこと

トレーニング

愛犬との幸せな共同生活を送る上で、「社会化」は非常に重要なプロセスです。

しかし、良かれと思って行っている社会化が、かえって愛犬に悪影響を及ぼし、問題行動の原因となる可能性もあります。

1. なぜ社会化は重要なのか? 社会化の定義とその必要性

犬の「社会化」とは、子犬が生後3週齢から16週齢頃までの感受期に、様々な人、犬、場所、音、物などに慣れ親しませるプロセスを指します。

この時期に経験したことは、その後の犬の行動や性格形成に大きな影響を与えます。

具体的には、以下のような理由から社会化が不可欠とされています。

  • 恐怖心の軽減とストレス耐性の向上: 見慣れないものや初めての経験に対し、過度な恐怖心やストレスを感じにくくなります。これにより、動物病院での診察やトリミング、来客など、日常生活で遭遇する様々な状況に対応できるようになります。
  • 攻撃行動や問題行動の予防: 不安や恐怖からくる吠え、噛みつき、唸りなどの攻撃行動を抑制し、他者や他の犬との適切なコミュニケーションを学ぶことができます。
  • 適応能力の向上: 新しい環境や変化にも柔軟に対応できるようになり、引っ越しや旅行など、ライフスタイルの変化があってもストレスなく過ごせるようになります。
  • 豊かな生活の実現: 社会化が十分な犬は、飼い主と安心して外出したり、他の犬と交流したりと、より豊かな生活を送ることができます。

2. 良かれと思った社会化が、まさかの逆効果に?

このように、社会化の重要性は広く認知されていますが、その実施方法によっては、犬に望ましくない影響を与えてしまうことがあります。

特に、以下のケースは注意が必要です。

・花火や雷といった突発的で非日常の音

夏の風物詩である花火。

夏しかないので花火に慣れさせようと、花火大会などに愛犬を連れて行かれる方がいますが、これは要注意です。

花火や雷のような突然で強烈な音響刺激は、犬にとって非常に強い恐怖体験となります。

人にとっては、花火は癒しや気持ちを明るくしてくれる対象でも、犬にしてみると恐怖の対象となる可能性があるんですね。

毎日のようになるものであれば慣れていけるかもしれませんが、たまにしかならない激しい音は、慣れるだけの経験をさせることができません。

逆に、恐怖心が強化されてトラウマとなっていき、遠くでかすかに花火の音が鳴っただけでパニックになってしまう場合もあります。

さらには、犬は一度強い恐怖を経験すると、その刺激だけでなく、その時の状況(特定の場所、時間帯、一緒にいた人など)全体を恐怖と結びつけて学習してしまうことがあります。

その結果、花火の音だけでなく、関連するあらゆる状況に不安を感じるようになっていくと、恐怖心を軽減していくことがますます難しくなっていきます。

・痛みを伴う体験

盲導犬のパピーをやってくださる方の中には、「盲導犬になるために必要な社会化をしよう!」と、エスカレーターに乗ったり、グレーチング(金属製の格子状のふたで排水溝のふたとして利用されています)の上を歩く練習をしてくださる方がいます。

(お気持ちはとても嬉しいのですが)これは犬にとって痛みを伴う危険性があり、かえってマイナスイメージを強くしてしまう危険性があります。

まず、エスカレーターは降りる直前のエスカレーターの収納口に爪を挟んで爪が折れてしまうむ危険性があります。また、網目の粗いグレーチングは肉球を挟んで痛みを伴う可能性があります。

こうした痛みを伴う体験は、意図せず「罰」を与えてしまっている状態となり、良かれと思って一生懸命にやればやるほどに、犬との関係性を壊してしまうことにも…。

3. 正しい社会化の進め方

では、どのようにすれば愛犬にとって本当に良い社会化ができるのでしょうか。

最も大切なのは、「ポジティブな経験を積み重ねること」です。

したがって、花火などたまにしかならないものは無理に花火大会に行く必要はありません。

痛みを伴うようなことは絶対に避けるようにしてください。

その上で、もし環境がセッティングできるなら、犬にとって嫌な気持にならない程度の刺激で慣れさせていくとよいでしょう。

花火であれば、遠く離れた場所で、振動がなく、音も大きく聞こえない距離で、花火が鳴っているのを聞かせてながら、ご褒美を与えていくといいでしょう。

愛犬の社会化は、愛情と忍耐をもって、犬のペースに合わせて進めることが成功の鍵です。

良かれと思った行動が、かえって愛犬を傷つけ、関係性を悪化させてしまうことのないよう、正しい知識と方法で、愛犬の心豊かな成長をサポートしてあげてください。


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