連日厳しい寒さになっていますが、寒くなってくるとよくある質問が、
『うちの犬は寒がりなんですけど散歩のときに服を着せた方がいいですか?』
『足は冷たくないでしょうか?靴をはかせた方がいいですか?』というもの。
なかには、『寒さを心配して家の中でも服を着せている』という方もいます。
「犬は喜び庭駆け回り~♪」が当たり前という価値観で犬と暮らしてきた身からすると、
正直「甘やかしすぎでは…」という気持ちも湧いてきます。
ただし、これだと「最近の若いもんは…」と言っているおじさんと一緒になってしまうので、上記の質問に対してもう少し冷静に見ていきましょう。
生物学的には
まず、犬の平均体温は38.5度前後で人間に比べると高く、
全身を覆う毛皮により保温され、寒さの中でも生きるのに必要な体温を保つことができます。
また、毛皮は水分をはじく構造となっていることで、体が冷えにくくできています。
プラスして、人は全身で汗をかきますが、犬が汗をかくのは足の裏だけ。
やはり犬の身体は熱を逃がしにくい構造となっています。
以上のことから、
犬は生物学的には寒さに強く暑さには弱い生き物である
といえます。
『これで結論!』と言いたくなりますが、
犬は人によって数多くの犬種が生み出され、体の構造も様々ですので、
犬種による違いも考慮する必要がありそうです。
犬種による違い
犬にはダブルコートとシングルコートの犬種があります。
ダブルコートの犬は水などをはじくオーバーコートと保温性が抜群のアンダーコートという2重構造になっており、これにより寒さから身を守っています。
一方で、シングルコートは、保温性の機能を持つアンダーコートを持たないので、ダブルコートの犬に比べるとやはり寒さには気を付けてあげる必要があります。
(シングルコートの犬の例:ミニチュアピンシャー、ミニチュアダックスフント、イタリアングレートハウンド、ドーベルマン、フレンチブルドックやパグなど)
また犬種により体の大きさも様々ですが、小型犬は大型犬に比べると寒さには弱いと言えます。
生物には、身体が大きいほど作り出す熱量も高いので発熱しやすく、また熱を逃しにくいため体温を維持するのに有利になるという法則があります(ベルクマンの法則)。
この法則の通り、寒さに強い犬を想像してみると、体の大きい犬が思い浮かぶのではないでしょうか。
(寒さに強い犬の例:シベリアンハスキー、セントバーナード、ゴールデンレトリーバー、サモエド、秋田犬など)
同じ犬種でも寒がりな犬はいる?
では、同じ犬種の中では暑がりや寒がりな犬はいるのでしょうか?
私が所属してきた訓練所の犬舎では、冬の犬舎内の気温は16~18℃くらい。
底冷えしないように床暖が入っていて、夜もぼんやりと温かいくらいの感じ。
その同じ環境下で、常時20~40頭ほどの犬が暮らしていましたが、
特別に寒がりな犬がいるので注意しなきゃということはありませんでした。
なかには、犬のために犬を家で待たせている間、もしくは夜の間も、「寒いのでは…」と心配をして、ストーブをつけっぱなしにしているという方もいるようですが、家の中にいる分には多少寒くても問題はありません。むしろ、ストーブをつけっぱなしにすることの方が危険ではないでしょうか。
ちなみに、ダブルコートの犬種でも、病気で明らかに毛が薄い犬がいました。
その犬については、やはり他の犬よりも寒さが応えるであろうと考えて、散歩時は服を着せる、寝る場所には毛布を使用するなどの環境を設定していました。
また、成長段階として、子犬の時期やシニアになると体温調節がうまくできないので、やはり寒さには気を付けてあげる必要があります。
上記のように、特別に寒がりというものはありませんが、成長の過程でまだ体が小さかったり、シニア犬や病気などをしているという特別な場合には個体に合わせてケアをしてあげる必要がありそうです。
まとめ
今年はインフルエンザが爆発的に流行しているという事。
2020年からの新型コロナウィルスの感染対策により、インフルエンザに罹る人は減りましたが、そのために日本全体でインフルエンザに対する免疫が低下していることが原因の一つとして挙げられています。
「うちの犬は寒いと外に出たがらない」という悩み相談を受けることもありますが、
室内で暮らすことが当たり前になっている現代の犬においては、
寒さに対しての免疫が低下してきているのかもしれませんね。
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