これまで400頭近くの子犬の成長を見てきて、
『ストレス耐性(回復力や適応力)はのばすことができる。』
というのが私の結論です。
日々のストレスにうまく対処して暮らしている方が、
幸福度が高い暮らしになることは想像に難くないですよね。
したがって、犬を育てる上でもストレスに強くなるように育てることが犬のため!
今回はストレスに強くなる育て方を考えてみましょう。
ストレスとの向き合い方
そもそもストレスとは、不快な刺激のことだけを指してはいません。
ストレスとは、外部からの刺激によって生じる体の内部の反応のこと。
つまり、興奮するときや激しい運動するとき、欲求があるときなどにも生じるもので、
ストレスがあった方が集中力が増すなどの良い効果もあります。
しかし、こういった日々のストレスが強くなりすぎると、睡眠の質を低下させたり、様々な病気を引き起こす原因となることもわかっています。
したがって、ストレスが強くなりすぎないようにコントロールしていくことが大切。
そのためには、ストレスを発散することも効果的ですが、
そもそもストレス耐性を強くすることも必要です。
では、ストレス耐性を強くなるためにはどういった育て方が必要でしょうか?
ストレスに強くなる育て方①
まず大切なのがしっかりと愛情を受けること。
幼少期に虐待などの経験がある子供は、
他者と良好な関係を築くことが難しかったり、自己価値観が低く常に自信が持てなかったり、
心理的なトラウマや不安、うつの発症リスクも高まるなどの影響があります。
つまり、十分な愛情を受けていないと、ストレスを強く感じやすくなり、
これは犬でも同じことです。
ストレスに強くする育て方②
犬でよく言われるのが社会化期の経験を豊富にすることの大切さです。
犬の社会化期(3週齢~3ヶ月齢)は、様々な刺激を柔軟に受け入れることができる時期。
したがって、この期間に人と暮らすうえで遭遇するであろう物や人、音などの刺激を経験させることはとても大切です。
実際に、保護犬の活動にボランティアで参加した際に出会った犬で、
幼少期の間ずっと車庫の中で育てられた保護犬は、
目の前を通る人や物、音だけではなく、日の光すら怖がっていました。
ストレスに強くする育て方③
ストレスに強くなるためにはストレスから逃れること、発散することを
繰り返していても強くなることはありません。
むしろ、筋肉が強くなっていくように、適度なストレスが与えられる経験が必要です。
そうは言っても、ストレスを浴び続ければいいのかと言えばそうではありません。
強いストレスを浴びせ続けると、「抵抗しても無駄だ…」と、
ストレスに対して無抵抗になる学習性無力感に陥る可能性があります。
したがって、ストレス耐性を強くしていくためには、
ストレスを乗り越えていくという経験が大切です。
ストレスを乗り越える!
ラットで行われた研究をご紹介します。
ご飯を食べるのに努力が必要であったラットは、
小さなチャレンジを日ごろ積ませてもらったおかげで頑張ることが自然と身に付き、
ご飯を探す必要があるという解決不可解な状況に直面しても、
努力経験のあるラットはめげずに取り組んだそうです。
一方で、努力しなくてもご飯を食べられたラットは、ご飯を探す必要がある状況で、
あきらめてストレス行動を示したというのです。
これは、犬も同じであることは言うまでもありません(もちろん人間も!)。
ストレスに対してのキャパシティーを広げることができるのは、
日ごろから努力しなければいけない機会を与えてクリアしていくことが効果的。
「かわいそうだから…」とストレスを与えないで生活させること、
「犬のためにのびのびと生活させたい」という考えで犬に自由にすることで、
わがままに成長して、人と強調する意識も弱くなり、
変化に対して強いストレスを示すようになる可能性があります。
人の指示に従うようにしつけることがストレスになるのではなく、
人の枠組み(ルール)の中に適応できるように求めていくことが、
ストレス耐性を強くすることにつながります。
したがって、
暮らしの中で人と協調する必要があることに対しては、
しっかりと求めていくこと。しつけをしていくこと。
これが大切です。
まとめ
可愛い子だからこそ旅をさせよ!
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