今回は「気を付けなきゃなぁ」という自戒を込めた内容です。
早速本題です。
リードマネジメント
これまでも繰り返し書いてきましたが、犬の飼育においては人と犬との良い関係性を作ることが大切。
その良い関係性は、当然叱ってばかりいても築くことはできませんし、舐められないようにボスになるとかいうものでもありません。
かといって、褒めてさえいればいいというもの極端すぎる(最近の流行り)。
(#すぐに白か黒かで答えを出したがる…)
犬とのより良い関係を築く上で、人がリーダーシップをとることは絶対に必要で、いわゆる『リードマネジメント』を実践していくと良いでしょう!
具体的には、生活する上でのルールを決めて(程度や時間、場所などを決める)、望ましい行動が出やすい環境を管理して、強化していくことで信頼関係を強くしていく。
その上で望ましくない行動がある場合は、すぐにフィードバックしてどうしたらいいのかを教えてあげることが必要です。
(#『任せて任せず』by 松下幸之助)
(#推薦図書 リードマネジメントについては『部下をもったらいちばん最初に読む本』がとてもわかりやすいのです)
平準化の罠
さて、きちんと行動の管理をしていくことは、盲導犬の育成にとってももちろん大切で、そのために『犬舎での管理』があります。
犬舎というのは学校と同じようなもの。
決まった時間や場所で集団生活をすることで、効率的に望ましい行動を強化していきやすくなります。
しかし、犬舎の生活に合わない犬も当然出てきます。
特に「難しいな」と感じるのが排泄のトレーニング。
犬舎の中で決まった場所と時間に排泄をするようにトレーニングしていくのですが、どうしてもその管理に合わない犬も出てきます。
例えば、犬舎以外の場所では絶対に失敗しないのに、犬舎で管理すると漏らしてしまうという犬。
これは、体の問題というよりも、犬舎という環境が精神的に合わないのが原因でしょう。
こういった犬に対して、『犬舎で漏らさないように』と、あの手この手でトレーニングをしていくことに意識が集中していくのですが(平準化しようとする)、『無理に犬舎の環境に合わせる必要があるのかな?』とも思います。
目的は犬舎で漏らさないことではなくユーザーの下で排泄管理が安定すること。
そう考えると、犬舎の環境に合わせてもらおうという平準化の意識は目的ずれしています。
平準化は決して悪いことではないけれど、管理者側の都合に合わせようとして考えなくなったら、逆に犬舎はマイナスの要因になります。
適応学習が大切
犬舎を学校に例えましたが、子供が高い学業成績をもたらす要因の第2位は『適応学習』となっています(2015年国際学習到達度調査)。
(#ちなみに要因の第1位は『豊かさ』)
適応学習とは、学習者の理解度や習熟度に合わせて、学習内容やレベルを調整する学習方法です。
これはそのまま犬舎での管理にも通じる話で、犬舎という場所を利用して平準化することと、それぞれの犬に合わせた環境設定の考え方のバランスを常にとっていく必要があります。
もちろん訓練も同じで、『この方法』というベースはあってもいいのだけれど、それに合わない犬には違う方法を適応していくことが必要でしょう。
繰り返しになりますが、平準化は管理者側(訓練士)にとっては❝楽❞なのですが、頭を使わなくなっていく危険性も常に心に留めておかなきゃなと思うこの頃です。
今回は以上でした。
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