恐怖心が強くなる時期を克服する

習性など

色々な物や事に怖くなっている…

9ヶ月齢になるパピー。

6ヶ月齢を過ぎた頃から怖いものが増えてきているということ。

急に寄ってくる人に身構えたり、突発的な音に対してびくびくする。

車に乗ったり、知らない場所では落ち着けないなどなど、

徐々に恐怖や不安を示す対象が広がってきているということでした。

ちなみに、社会化期から社会勉強のために、色々な場所に出かけたり、

人や犬に会わせてたりして、5ヶ月齢位までは特に問題はなかったということでした。

恐怖心を示すようになっているパピーに対して、

「一時的なものとして考えて、今は無理に刺激しないように暮らした方がいいのか…?」

「それとも少しでも馴れさせていく練習をした方がいいのか…?」

というご相談でした。

犬の思春期

まず、犬の成長・発達過程として、人間でいう思春期に当たる時期があり、

多くの犬が6ヶ月齢前後から1歳位までに見られます。

6ヶ月齢位から、性成熟に向けて体内のホルモンバランスも変わり、

心身の発達や成長に大きな変化をもたらします。

心の面では、人間の思春期と同じように、

徐々に自我が形成されて、自己主張も強くなったり、

得意なこと、苦手なことがはっきりとしてきます。

犬の習性であるテリトリー意識が強くなってくるのもこの頃からで、

警戒心が強くなってきて、❝チャイムが鳴ったら吠える❞という行動も、

6ヶ月齢以降で出てくる犬が多く見られます。

他には、呼んでも来なくなるなど、指示への反応が悪くなります。

また、吠えて主張する、叱ると反発する、いたずらが増えるようになるのもこの時期。

飼い主にしてみると、犬の変化の大きさに『飼育の仕方が間違っていたの…』と

考えてしまう時期でもあります。

どう対応するのがいい?

指示反応や反発心といった自己主張は、人間と同じく一時的なもので、

成長とともに落ち着いていく犬が多いようです。

ただし、不安感や恐怖心、警戒心については、ご相談の子のように、

成長とともに慣れていくというよりも、刺激に対しての反応が増して(鋭敏化)、

恐怖の対象がどんどんと広がっていっていく可能性があります。

チャイムで吠えるようになった犬を見ていると、

初めは吠えの程度が小さかったものが、徐々に大きくなって、

吠える対象も広がっていくパターンがほとんど。

したがって、反抗的な態度には「今は我慢のとき…」ですが、

恐怖や不安、警戒心に対しては、慣れさせていく練習が必要です

恐怖期を乗り越える①

恐怖心や不安感、警戒心を和らげていくには(刺激に慣れさせるには)、

やはり『安心』をベースにしていくことが効果的(『❝なでる❞を見直してみる』参照)。

具体的には、犬が反応しない程度の小さな刺激から徐々に刺激を大きくして、

目標の刺激まで慣れさせていくという方法をとります(系統的脱感作法)。

犬の反応を観ながら毎日コツコツと続けることが必要で、

できればプロの力を借りることをお勧めします。

恐怖期を乗り越える②

6ヶ月齢前の子犬を飼育している場合は、

色々な場所や状況に慣れさせるための社会化トレーニングを、

1歳くらいまで継続してあげてください。

確かに犬は、

社会化期(生後3週齢~3ヶ月齢位まで)の間に色々な経験をさせることが大切です。

しかし、社会化期に経験させたから万事OKということではありません。

社会化期に体験したことをベースにして、

1歳くらいまではコツコツと慣れさせる経験を続けていく必要があります。

過去にも、警戒心でチャイムが鳴ったら吠える犬の対応として、

吠える対象(音や人)に対して、拮抗条件付けを使った練習を実践してもらいました。

練習を続けると吠えは軽減するのですが、それに安心して練習をやめるとまた吠える…

という反応だったので、1歳くらいまでコツコツと練習を継続してもらいました。

すると、2歳になった今では全く吠えなくなり、練習も必要なくなりました。

恐怖期を乗り越える③

犬が必要以上に恐怖心を持たないように成長していくためには人と犬との関係も大切。

具体的には、

人がリーダーシップをとって、

犬の自己主張を強くしすぎない関係性づくりです。

(ブログ内の『犬育てがうまい人の特徴』シリーズを参照ください)

放任でのびのび育ってきたわがまま犬は、

自分の判断で好き嫌いのキャパシティーを決めます。

おのずと苦手なことなどを乗り越えるといった、

ストレスを克服する経験も乏しいことから、

マイナスのイメージを持った事象に対しては拒否反応が強くなります。

反対に、人と正しい関係を築いてきた犬は、

今は危ないときかどうか、警戒心を示す必要があるかどうかを、

全て自分で決めるのではなく、リーダーである人に任せることができます。

したがって、安心した生活を送ることができるようになり、警戒心も和らぎます。

また、人の指示に従うというトレーニングの過程で適度なストレスを受けることで、

暮らしの中で受けるストレスに対しては過度に反応せずに、

受け流すことができるようになっていきます。

まとめ

犬が必要以上に恐怖心や警戒心を示さずに安心して暮らせるようになるためには、

①子犬を迎え入れた時から犬との関係性を正しく作っていくこと。

その上でトレーニングを行うこと(適度なストレスをかけること)。

②暮らしの中の刺激に慣れさせる社会化トレーニングを社会化期から1歳くらいまではコツコツと継続すること。

③恐怖や警戒心を示す対象が出てきた場合は、徐々に慣れるようにプログラムしてあげること(できればプロの力を借りる)。

以上です。

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