犬と人の関係性の構築には、よりよいコミュニケーションが必要です。
ということで、今回は犬に伝える上で大切なこととして、❝ 指示語をかけすぎない!❞ということをお伝えしたいと思います。
こんな声かけになっていませんか?
よく目にするのが、犬が興奮している場面で落ち着かせたくて、
「すわれ!すわれ!すわれ!」(普段より高めのトーンで)
「待て!待て!待て!」(普段より高めのトーンで)
という声かけ。
でも、当の犬の方は興奮しているので聞いていません。
これは人の親子の会話でもよく見かけるシーンですよね。
先日、動物病院の待合室で目にした光景ですが、
お母さんと小学生入学前くらいの二人の子供が待合室にいました。
とても混んでいる時間帯でなかなか順番が回ってきません。
当然子供たちはじっとしていられず、兄弟で遊び始めました。
そんな子供たちを、「静かに!」「座っていなさい」とお母さんがしきりに注意していますが、子供たちの行動は落ち着くどころかどんどんエスカレート…。
お母さんもさらに語気に力が入ってきて、病院中に子供を𠮟りつけるお母さんの声が響く…という状況でした(お母さんのお気持ちお察しします…)。
言えば言うほど逆効果…
上記二つの例は、何度も何度も声をかけることが逆効果になっているパターンです。
何度も声をかけることで、声の価値がどんどんと下がっていき、言葉や指示を「聞かなくてもいいんだ」「無視していいんだ」ということを学習させてしまっています。
「何回言ったらわかるの(怒)」と言っている場合は、この悪循環パターンですので要注意です。
また、言葉をかけすぎることは、相手の興奮をますますあおっている可能性があります。
落ち着かせようと言葉をかけているつもりなのに、焦りやイライラの感情で発する言葉はやや高めのトーンになりますよね。
動物は基本的に高いトーンには喜びや興奮など、低いトーンには落ち着きや威厳などを感じとります。
したがって、高いトーンで何度も注意することは、逆にはやし立てる効果になってしまい、ますます興奮して言葉を聞けないという悪循環を作り出してしまっているんです。
❝犬は人と性格が似てくる❞という都市伝説的な話もありますが、実はこれはあながちウソではありません。
神経質な傾向の人のもとで育った犬は同じく神経質タイプになったり、その逆もまたしかりで落ち着いている人や家庭の下では、犬も落ち着いていきやすいということは研究でも示されています(オーストリア ウィーン大学、2017)。
私もこれまで数多くの犬と人のペアを見てきた中で上記の研究と同じ感想を持っており、「特に興奮や自己主張の度合いが育ちの影響を受けやすいな」と感じています。
声掛けを見直してみよう
ということで、犬とのより良いコミュニケーションを築くためには、声のかけ方を変えていく必要があります(相手を変える前に自分が変わるのが一番効果的!)。
習慣となった行動を変えていく方法として、マイルールを作って日々振り返ることをお勧めします。
声掛けへの反応をキープするために、私のマイルールとして実行してきて効果的だったのが「指示をするのは1度だけ」というのもの。
私が犬に接する動作を見て、「かとじゅんさんはほとんど声をかけないんですね。」「声掛けが穏やかですね。」とよく言われるのですが、ずっとマイルールとして継続してきたことで身についたものです。
❝ 指示は1度だけ ❞ と決めると、犬が指示を聞けるタイミングを見計らうようになります。
どんな声のトーンやボディーランゲージに反応しやすいか工夫するようになります。
つまり、一方的なガミガミではなく、相手に合わせた声掛けになるんですね。
相手に合わせた声掛けによって、反応も維持できるので褒めることができるようになります。
「声をかける」→「反応する」→「褒める」→「ますます反応する」という循環にもなっていきます。
まとめ
伝える伝わるって本当に難しいですよね(汗)。
物が溢れる現代において、『断捨離』がテーマのテレビや本を目にすることは当たり前になりました。
断捨離の火付け役となった近藤麻理恵さんは、物を手放すときのルールとして、「ときめくものを残し、それ以外は手放す」と表現しています。
また、物を減らして、暮らしを簡素化、単純化して無駄をなくすことで、自分らしいシンプルな暮らしを表現するシンプリストも注目を集めるようになっています。
どちらも、物を減らしてシンプルにすればするほど、残したものは自分らしくときめきや輝きを放つものになっていくということ。
これは言葉も同じこと。
かける言葉を減らしてシンプルにしていくことで、わくわくする言葉として際立たせていきましょう!
コメント