テレビでよく観る番組の一つがNHKの❝地球ドラマチック❞です。
先週の内容が『ネアンデルタール人 VS ホモ・サピエンス』というもので、
犬のことも考えさえられるとても興味深いものでした。
ネアンデルタール人が絶滅した理由は…!?
まず、進化の過程として、ネアンデルタール人からホモ・サピエンスに進化して、
現代の人類の発展につながってきていると思っていませんでしたか!?
しかし、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは別々の種族なのだそうです。
それぞれの種族が数千年は同じ時期に存在して共存していて、
最終的にネアンデルタール人が絶滅して、我々人類の祖先であるホモ・サピエンスが繫栄していったのだとか。
そして番組では、「なぜネアンデルタール人が絶滅したのか」について、
様々な研究結果から推測されていました。
最新の研究によると、
ネアンデルタール人がホモ・サピエンスに代わられたのは、
ネアンデルタール人がホモ・サピエンスよりも原始的で劣っていたからではなく、
遺伝的多様性の問題であったというのが有力なのだそうです。
種の維持には遺伝的多様性が必要!
ネアンデルタール人の滅亡の流れを見ていくと、
ネアンデルタール人は地球が温暖化するとともにヨーロッパからユーラシア大陸全域に生息地を広げていきましたが、そもそものネアンデルタール人の数は少なく、たった7万人だったそうです。
東京ドームでコンサートをすると大体4~5万人ですから、ネアンデルタール人の母数がそもそもかなり少なかったことがわかります。
その母数で、生息地を広げていったため、一つの集団はかなりの小集団になります。
すると、その集団を維持するためには近親交配することに…。
近親交配は、似たような個を作ることはできますが、逆に遺伝的多様性が乏しくなり、病原菌や気候の変化、環境の変化にも遺伝子レベルで適応しにくくなります。
また、生殖能力の低下や乳児死亡率の増加、遺伝的な疾患など、
遺伝子に有害な変異を起こす因子を多く抱えていくことで、
集団としては徐々に絶滅に至ることになります。
したがって、『小さな集団というのは、遺伝的多様性を維持するには非常にもろく、ネアンデルタール人は、ホモサピエンスに同化していくしかなかった。』というのが番組の結論でした。
話は少し横道にそれますが、
先日読んだ『妻のトリセツ』という本でも同じような趣旨の内容がありました。
その本によると、価値観の違いを理由に別れる夫婦が多いのですが、
そもそも価値観が違うという多様性に魅力があるために、
夫婦は惹かれあって子孫を残していくのであって、
価値観が似た者同士の夫婦はセックスレスになりやすいのだとか。
(なぜ私がこの本を手に取ったのかは推察ください…)
盲導犬の質の維持も同じこと
このネアンデルタール人の絶滅は、盲導犬の質を維持する上でも示唆に富んでいます。
盲導犬の質をよくするためには、訓練士の技術などの話になりやすいのですが、
そもそも繁殖がしっかりしていなければいけません。
なぜなら、犬は育ちよりも氏の方が影響が大きいから。
人間は20~30年かけて、その過程で色々な環境の影響を受けながら成熟していきますが、
犬は成熟するまでにたったの2~3年です。
つまり、成熟するまでに環境から受ける影響も2~3年しかなく、
育ちの影響よりも持って生まれた稟性(ヒンセイ)が色濃く影響するようになります。
(もちろん育ちも重要です!)
そして、その質を長く維持するには、血統的な多様性が必要となります。
しかし、多様な血は無駄を生むことも確かです。
ここに盲導犬育成事業の難しさがあります。
短い視点で見れば、色々な血を入れることで多様性が増し、
盲導犬には向いていない犬も多く輩出する可能性が高くなり、
合格率は低下していきます。
しかし、似たような犬ばかりで交配を繰り返しても、
短い視点で見れば安定するかもしれませんが、
長い視点で見るとネアンデルタール人の道をたどることになります。
つまり、心身ともに質の高い犬を維持していくためには、
常に短い視点と長い視点を両立させていく経営視点が必要になりますが、長い視点というのは、たいがい理解はされにくいもの。
経営者の孤独とはここにあるのかもしれませんね。
おわりに
この短い視点と長い視点を両立させることは、
犬の繁殖だけではなく、100年時代の個人の人生プランや会社という組織の維持、はたまたこれからの日本全体にも言えること。
人口が減少していっている今の日本は、
もしかするとネアンデルタール人のように、徐々に滅亡に向かっているのかもしれません。
ちなみに、ネアンデルタール人は数千年かけて絶滅していったようです。
この問題に手を打つには、数千年とは言わなくても、
せめて50年や100年先の日本というビジョンをもって日本を経営していくことが必要。
そして、長く発展していくには多様性が必要なのはネアンデルタール人が身をもって証明してくれていますが、島国で同調圧力が強く、多様性を好まない国民性の日本において、改革のリーダーシップをとっていくのは大変なことでしょうね。
さて、
ネアンデルタール人の話から、ずいぶんと話が大きくなりましたが、
私自身、これからも犬という素晴らしきパートナーの力を借りながら、
幸せな社会づくりに長く貢献していくためにも、
短い視点と長い視点を柔軟にもって決断し、耳の痛い指摘をしてくれる価値観の違う妻が横にいてくれている環境も大切にしていかなくてはと改めて考えさせられました。
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