パピーウォーキングは「他に動物がいたらできない」と思われている方も多いのですが、
基本的に、先住犬はもちろん、そのほかに動物がいてもパピーウォーキングはお願いしています。
というか、むしろ先住犬がいてパピーの飼育を希望してくださる家庭は年々増えており、
今年も約20%は多頭飼育です(ありがとうございます!)。
さて(本題です)、先住犬がいる家にパピーを委託すると、
「私たちは何も教えていないのに、パピーが先住犬の真似をして勝手に覚えていく」
と多くの方から報告があります。
トイレを覚えたり、スワレやフセ、マテなどなど、
先住犬がやっているのを見て覚えるというのです。
今回は、『本当にパピーは見て学ぶのか?』について、
これまでの経験談も交えて考察してみます。
先住犬を見て学ぶ
先日も、「委託後はあちこちでおしっこをして困っていたのですが、先住犬がしているところを見せたら、真似をしてトイレでするようになった!」というお話を聞きました。
他にも、❝スワレ❞や❝フセ❞を覚えたという話はよく聞きますし、
階段の上り下りも先住犬がいるご家庭のパピーは早く覚えてしまうことが多いようです。
(逆に真似してほしくないことも覚えますが…)
人間でも末っ子は兄弟の様子を見て学んでいるので要領がいいなんて言いますが、
犬にもあるのでしょうか?
まず、結論から言うと、犬は模倣学習(観察して真似をする)をします。
犬の祖先であるオオカミの行動を見ていても、
狩りができるようになるためには、親の狩り同行して真似をして学習していきます。
麻薬探知犬の訓練施設で、1頭が訓練しているところを他の犬に見せながら訓練していると、
合格率が上がったという報告も目にしました。
ただし、これについては正直「それは言い過ぎ!」と感じています。
うちの協会でも犬舎内で訓練をすることはありますが、
特別合格率が上がっているわけではありませんしね。
人の真似をする?
もう少し話を展開して、犬は人の真似をするのでしょうか?
今、これまでの訓練方法と違い、人の真似をさせて行動を教えるという
全く新しい方法が注目を浴びています。
HPも見てみましたが、他のトレーニングに比べると、「犬の学習が早く、より般化が促進され、学習した行動をより長く覚えている」と書いてあります。
つまり覚えるのも早くて、応用もきくし、定着もするというもの。
真似は二者間で行動が同期するので、お互いの信頼関係や協力関係も作りやすいのだとか。
私はこの方法を試したことがなく、
「いいことだらけのアピールには裏があるんじゃない??」と
ついつい懐疑的に考えてしまうのですが、
先の麻薬探知犬の報告の時みたいに強く否定できないのには理由があります。
それは、私が20年前に担当した盲導犬ユーザーで、
❝落ちたものを拾う❞という行動をDo as I doで教えたユーザーがいたんです!
「盲導犬が物を落としたときに拾ってくれたら助かる!」と考えて、
盲導犬に自分で教えたというのです。
実際に見せてもらうと、見事に落ちたものを拾って持ってきてくれていました。
❝落ちたものを拾う❞という動作は、介助犬でも教えられており珍しくはないのですが、
盲導犬ユーザーが教えた方法がまさにDo as I do方式でした!
盲導犬ユーザーが物を咥えて、犬に見せて「こうやるんだよ!」と示したたのだそうです。
すると、それを真似して持ってくるようになったのだとか。
たぶんこれを読んだ方は、かなりの確率で「ほんとに??」と疑っているのでしょう。
私も当時は「たまたまだろう・・・」と片付けていましたが、
Do as I doの動画を見て、「ユーザーの話は本当だったんだなぁ」と
20年前の話を思い出しました。
ということで、人の真似をして動作を覚えるというのは訓練としても確立されており、盲導犬ユーザーとの体験談からも、疑いようのないものと考えています。
他の研究では、生後8週齢から観察学習はしているという結果もあり、
パピーを委託する段階ですでに人の行動を観察して真似をする学習はできるようです。
模倣はしつけて教えるというよりも、人の真似をするというゲーム感覚に近く、犬もより楽しんで覚えることができそうです。
また、コミュニケーションが強くなりますし、行動を同期することで信頼関係も作れます。
人が模範者になることで、犬に対してリーダーシップ関係も築けそうだなとも感じます。
もし、8週齢で観察して真似ができるのであれば、パピートレーニングに取り入れてみるのも面白そうだなと感じています(すぐに感化される男です)!
パピーとの暮らしに応用できること
行動を真似するところまでではありませんが、
行動を同期するという意味では、すぐに取り入れられることがたくさんあります!
例えば、散歩で歩くスピードをアップしたり、スローにしたりして、その歩調に合わせてもらうことで、自然と行動の同期となります。
電柱や車止めのポールを使って、スラロームをやるのもいいですよね!
私の散歩コースには、川を渡るために石が並べられている場所がありまして、石の上を飛び渡りながら川を渡ってみるのもアスレチック感覚で面白いです!
他にも低いバーを一緒にジャンプするとか、ベンチで一緒に休憩するなどなど、人に合わせて行動をしてもらう機会を散歩の中でたくさん作ってみるといいと思います。
まとめ
しつけとして『ちゃんと歩け!』と強制的に教えるのではなく、
行動を合わせることを一緒に楽しんでいるうちに、
自然とコミュニケーションが取れるようになっていく!
そんな付き合い方が理想的だなと考えています。
そういえば、私が子供の真似をすると子供たちはうれしそう。
「親から注目を浴びている!」のがうれしいのか、
自分の行動を真似してもらっていることで自信をくすぐるのか!?
今度、犬舎で犬の真似をしてみよっと♪
周りの職員は、「あいつどうした・・・」ってなるだろうけど(汗)
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