盲導犬はかわいそう?

盲導犬について

先日、盲導犬協会に見学に来た方が、犬達に会えて喜びつつも、

「人間のために…なんかかわいそう。」と感想を漏らしていました。

パピーウォーカーの皆様も、周囲の人に似たような言葉をかけられることがあり、

後味の悪い気持ちになることもあるのではないでしょうか?

人の価値観はいろいろで、どんな感想を持たれようとかまいません。

もちろん、かわいそうではないというのが私の結論です。

『仕事ができる人』・『出世する人』の話

少し話はそれますが、

以前ラジオで、『出世する人と仕事ができる人』についての考え方を耳にしました。

そのお話をまとめると、

「自分がどうなりたいのか」という欲を達成するために仕事をする人は❝仕事ができる人❞

そして、自分のやりたいことが会社のためになっている人が、❝出世する人❞

さらに、自分のやりたいこと=会社のため=社会のためになっている人が❝会社を大きくする人❞

この話で重要な部分が、会社のためにとか自分の欲は捨てて滅私奉公的に働くのが正しいのではないということ。

人は誰でも自分が可愛く、まずは「自分がどうしたいのか」ということに素直になることがモチベーションよく働くエンジンになり、滅私奉公的な考え方を否定していました。

私はこの考え方に賛成です。

そして、この内容は、まさに盲導犬に当てはまるなと思いました。

盲導犬になる犬=『出世する人』

盲導犬がかわいそうと考えるのは、

「人のために我慢して働いて…」という風に、

犬が人のために滅私奉公的に振舞っていると映っているからなのでしょう。

動物物番組を観ていても、犬の行動を擬人化して解釈して、

利他的な美談として創りあげられているものが多くめにします。

したがって、『盲導犬=人のために滅私奉公している存在』という、

見方をしてしまうのも無理はありません。

これが発展して、「盲導犬の仕事はストレスで早死にする」とまで考えられているようです。

しかしはっきりと言いますが、

どんな犬も、人のためにという考えで生きている犬はいないでしょう。

犬達は自分のやりたいことに素直です。

確かに、犬に限らず動物は、子育ての時にご飯を吐きもどして子供に与えたり、

仲間を守るために、命の危険をかえりみずに敵に立ち向かっていくといった、

利他的な行動をしますが、これも❝群れの生存のため❞と考えれば、

行動の根本は自分のための行動です。

盲導犬の訓練も、訓練に入ったすべての犬が盲導犬になるわけではありません。

やはり、どんなに褒めながら教えていっても、

『盲導犬の作業はやりたくない…』という態度を示す犬はたくさんいて、

そういった犬を叱咤激励して無理やり盲導犬にするということはありません。

『ハーネスをつけると顔つきが変わった!』という感想を持つ方もいますが、

これもどこまで本当かはわかりません。

盲導犬の作業は『頑張る必要のあるもの』ではなく、一緒に歩くうえでのルールであり、

そのルールを楽しめる犬を盲導犬として選んでいっています。

つまり、先ほどの仕事ができる・出世する人の話に当てはめると、

盲導犬になる犬は、『自分のやりたいこと=盲導犬の作業』となる犬を選んでいるというわけです。

というわけで、「盲導犬はストレスで寿命が短い…」という説も全くのウソで、むしろ一般の中大型犬よりも長生きで、その寿命は小型犬並みになっています。

(『盲導犬は寿命が短い』はウソを参照ください)

『パピーウォーキングの考え方が当たり前』の世界を目指す!

パピーウォーキングでは❝子犬たちの自立❞を目標に育ててもらうようアドバイスしていきます。

将来、パピーウォーカーのもとを巣立っていく犬達。

どのような環境や人のもとでもポジティブに生きていけるよう、自立できることが必要です。

確かに、普通のペットにしてみれば、飼い主のもとを巣立っていく必要はありませんし、特殊なことと捉えられるでしょう。

しかし、パピーウォーキングの育て方は特別なことをお願いしているわけではありませんし、

自立を目指すという考え方は、よりよく成長を促すうえではとても大切なキーワードとなります。

というのも、子供でも犬でも、親子間で耳にする様々な問題は、育てる過程で依存的に育ててしまうことが原因で起きています。

パピーウォーキングをされた方の感想に、

「人の子育てと同じで参考になった。」

「犬を飼育する前にパピーウォーキングをしていればよかった。」

というものが多く寄せられます。

仕事柄、様々な国を訪問して、その国の犬の事情を目にしてきました。

犬について先進国のヨーロッパでは、電車などの公共の施設でも、当たり前に犬と一緒に利用できる場面を目にして、犬と人が本当の意味で共存しているんだなと感じました。

当然、そのためにはきちんとしたしつけが必要で、様々な環境でも落ち着いているという犬の自立心も求められます。

そういった世界を見てきても、

私は、パピーウォーキングこそが、犬を育てる上での正しいマインドだ

と考えています!

まとめ

盲導犬になる犬は、「人のために…」なんて考えていません。

❝我がまま❞に暮らしています!

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