犬と散歩していると出会う人や犬、鳥などに興奮して引っ張ったり、バタバタしてしまうことありませんか?
そういった刺激がなければ落ち着いて歩けるので、「できれば近づいてきてほしくない…」「声をかけないで(心の声)」と思っていても、当の犬は喜んでいるので相手も近づいてきてしまいます(泣)。
では、犬が興奮する刺激への対処として、
①「犬が興奮してしまうような状況や時間帯は避けて散歩をした方がいい??」
②「むしろ刺激に慣れさせていった方が早く落ち着く??」
これって一体どちらがいいのでしょうか?
皆様はどちらで対応しているでしょうか?
①刺激を避ける方法は?
まず、興奮する刺激を避けていくといずれ落ち着くのでしょうか?
結論から言うと、そういった刺激を避けていてもあまり効果はありません。
以前、子供を見つけると興奮して引っ張って向かっていくので、散歩のときには子供と出会うのを避けるようにしているという方がおりました。
子供との遭遇を避けて歩いて1年が過ぎ、散歩中の犬の動きも随分と落ち着いてきたので、「子供に対してもそろそろ落ち着いて対応できるかも!」と期待して会わせてみたところ…
子供を見た瞬間に突進!!!
結局、子供という刺激を避けていただけでは、その刺激に対しての反応は変わっていませんでした。
むしろ、身体が成長して力強くなった状態で突進していこうとするので、より一層大変に(汗)。
したがって、興奮してしまう刺激に対しては、力強くなる前から慣れさせていく必要があります。
②刺激に慣れさせているけど…
散歩中にガラスに映った自分に興奮する自意識高めの(?)パピーがいました。
繁華街にほど近い地域で、散歩をしていると自分が映る場面に多く出会いますので、その刺激を避けるのは難しい状況です。
「早く慣れてもらうしかない」と、ガラスの前に連れていき、興奮したらガラスから立ち去るようにしていました。
でも、毎回ガラスに映る自分に興奮して、なかなか興奮が収まらずに毎日の散歩が大変…ということでした。
刺激に慣れさせようと毎日繰り返していくのは大切なのですが、ただ繰り返せばいいというわけでもないようです。
近親効果
ここで、ガラスの前で興奮する犬について、犬がどう学習しているのかを考えてみましょう。
犬は(人も)最後の状態や結果が強く印象に残ります。
これは近親効果という心理学効果で「最後がどういった状況であったのかということが記憶に残りやすく、のちの判断や行動に大きく影響を与える」というものです(1976年 アメリカ心理学者 N・M・アンダーソン提唱)。
さて、鏡に映った自分に興奮する犬に話を戻してみましょう。
飼い主は、犬が鏡に映った自分に興奮したら、その場を去るということを繰り返していました。
したがって、去り際の❝ 興奮した状態 ❞を記憶しているので、次回も興奮しやすくなっていたというわけです。
いったん完了する
「鏡に映っても興奮しない」ということを学習してほしいなら、鏡の前で落ち着いた状態になってから立ち去ることが正解になります。
私はこれを❝いったん完了する❞と表現しています。
鏡の前で興奮した場合、落ち着くまで待つことで、興奮した状態をいったん完了してあげます。
❝いったん完了❞を繰り返しながら散歩を続けていくと徐々に落ち着くスピードが早くなり(切り替えが早くなり)、お散歩の後半には鏡に自分が映ってもほとんど気にしなくなっていきました。
子供や鳥、犬に反応してしまう場合も同じです。
興奮してしまったなら、落ち着くまで待ってコンタクトを取り直してから次の行動に移るということを繰り返してみてください。
❝いったん完了❞を私たちの生活にも取り入れる
❝有終の美❞
❝立つ鳥あとを濁さず❞
❝終わり良ければすべて良し❞
終わりや最後の大切さは、様々な言葉で表現されていますよね。
でも、私たちの忙しい生活の中では、どんどんと次に流されていくことで、過去に引っ張られたり未来に不安になったり…と心身が不安定になって目の前のことに集中するのが難しくなります。
そこで、❝いったん完了する❞を取り入れてみるんです!
毎日生活していて、周りの出来事によって沸き起こる感情のアップダウン。
それら一つ一つの感情に影響されたままにするのではなく、そしてその感情に抵抗するのではなく、
沸き起こった感情を『受け止めて、認めてあげる』ことでいったん完了していきます。
そうやって完了しながら生活していくことで、心の余裕も生まれて今に集中できるようになっていきます。
我々の生活にも❝いったん完了する❞が大きな効果を発揮しますのでお試しあれ!
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