いい訓練士 悪い訓練士①

犬との向き合い方

昨年から職場では管理する側になって、良く考えるのが「いい上司と悪い上司の差は何か?」ということ。

そして、私はこれを定義付けるのは非常に難しいなぁと思うのです。

皆様にとっていい上司や悪い上司と言えばどんな条件が挙げられるでしょうか?(いい親やいい訓練士に当てはめて考えてみてもいいです)

いい上司と悪い上司の条件

良い上司の条件として、色々と挙げられるかもしれません。

たとえば、AIで調べれば『ビジョンを明確に示してくれる』、『一貫性がある』、『フィードバックしてくれる』、『的確で具体的な指示がある』、『ちゃんと褒めてくれる』、『強みを活かしてくれる』などが挙がってきます。

どれも、リーダーシップ関連の本を読めばよく出てくる言葉ですよね。

しかし、上記の項目も人によってはいい条件にはならず、むしろ悪い上司の項目になる場合もあります。

例えば、『ビジョンを明確に示してくれる』ということについては、以前面談で個人のビジョンを聞いたときに、「そういうことを考えると辛くなる」と言って泣き出す部下がいました。その部下にとってはビジョンを聞いたり、こちらからビジョンを示すのはマイナスになるんです。

『一貫性がある』は、ある部下にしてみれば、「あの上司は融通の利かないやつだ」になる可能性もありますよね。

『フィードバックしてくれる』『的確な指示』は、のびのびと自由にやらせた方が力を発揮するタイプの人にとっては、フィードバックをマイクロマネジメントと感じるかもしれません。

『褒める』も取り扱いがとても難しい。「私をコントロールしようとしている」と考える人もいるでしょう。また、達成意欲よりも貢献意欲の高い人に対しては、仕事の成果や能力を褒めてもあまり響きません。

『強みを活かしてくれる』は、「マイナスを指摘された方が課題が明確になり安心する」という人も確実にいて、「見てほしいのはわたしの強みじゃない!」と反発されることになります。

つまり、いい上司になるか悪い上司になるのかは相手次第であり、いかに相手の願望に合わせて付き合うかが大切ということ。

❝いい上司になる❞ってアートの世界だなぁと感じます。

いい訓練士、悪い訓練士

これは、犬にとっていい訓練士なのかどうかについても当てはまることです。

長年この仕事をしてきて、様々な訓練士を見てきました。

犬の訓練というのは、ある程度の頭数をやっていけば、それなりの訓練はできるようになるでしょう。

しかし、訓練士資格を持っていても、Top of topのハイパフォーマーになるのはほんの一握りです。

プロ野球でいえば、その年によって成績に浮き沈みがあるそこそこの選手が大半な一方で、毎年期待に応える成績を残すスター選手もいますよね。そして、チームの顔となるスター選手は本当に一握りです。

では、そこそこの訓練士とスター訓練士では何が違うかというと、そこそこな人は『自分に合う犬は仕上げられる』という条件付き訓練士。一方で、スター訓練士はどんな犬にも合わせて必要なことをきちんと伝えていきます。

そこそこ訓練士は、自分のやり方に犬を合わせようとします。目的に向けてルートが絞られているので、そのルートに合わない犬はうまくいかないことがあります。

一方で、スター訓練士は目的地がぶれることはありませんが、そこに向かうルートは犬に合わせて柔軟に設定できるので、どんなタイプの犬にも対応できます。だから毎年安定して成績を残す。

失敗談(懺悔)

偉そうに書いていますが、私もまだまだそこそこ訓練士です。

つい先日も失敗しました。

今飼育している犬はブラッシングをすると体をくねくねさせてじっとしているのが苦手。

ほかの犬に比べると、ボディーセンスが高い子で、体を触られることに敏感なタイプです。

トレーニングとして、ブラッシングの時もじっとしていられるように求めてきた。

でも、ボディタッチの仕方(強さ)を少し変えるだけで、体をくねくねすることもなく気持ちよさそうに受け入れてくれるようになりました。

この子の変化を見ていて、自分に合わせようとしすぎていたんだなと反省しました。

25年この仕事をしていても、体のタッチの仕方でいまだに勉強になります。

経験すればするほど自分のやり方や考え方が固まるのではなく、相手の状態に合わせてやり方や考えをアップデートし続けるしかないですよね!

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